王陽雨子助教が第6回進化経済学会奨励賞を受賞しました。

2025.09.22

助教の王陽雨子さんが第6回進化経済学会奨励賞を受賞しました。進化経済学会奨励賞は,進化経済学の発展に貢献する45歳以下の会員の研究を顕彰するために設置されました。受賞対象の著作と受賞の理由は下記のとおりです。

対象作品:Yangyuzi Wang (2024) “Stability of price and quantity to a long-run equilibrium: a dynamic Leontief model with bounded rationality,” Evolutionary and Institutional Economics Review, Vol. 21, pp. 349–372。

受賞理由:本論文は、投入産出モデルにおける価格と数量の動学的安定性という古典的課題に対し、資本の不完全活用と限定合理性を導入することで、従来の「二重安定性の逆説」を乗り越える新たな理論枠組みを提示した。特に、価格と数量の調整過程を分離し、それぞれに異なる学習メカニズムを導入することで、経済主体の期待形成と行動を進化的に捉えるアプローチは、進化経済学の方法論的多様性と制度的リアリズムを体現したものである。また、Morishima、Aoki、Shiozawaらの先行研究との批判的対話を通じて、固定資本の扱いや技術選択の問題に新たな視座を提供しており、今後の発展可能性も大いに期待される。数理的厳密性と経済的直観を両立させた本研究は、若手研究者による挑戦的かつ独創的な成果として高く評価された。