Global Vision

東北大学は「国際会計政策大学院」(International Graduate School of Accounting Policy 【以下IGSAP】)を2015年4月にスタートしました。そして2015年10月には最初の新入生を迎えて授業を開始します。IGSAPは、「国際会計政策プロフェッショナル」の育成を目的とする国際的な専門職大学院コースで、学生は2年間の課程を修了すれば、東北大学から修士の学位を授与されます。

IGSAPは、東京に教育拠点を置きながら、国内外の多数の大学、企業、職能団体などと連携して、斬新な教育方法によって、 グローバル化時代に適応した高度で実践的な内容の教育を開発・実施していきます。学生の約3分の2は外国人留学生で構成され、多国籍の教員がすべて英語による授業を東京の教室やインターネットで提供するのに加えて、希望する学生には海外連携大学の修士課程への留学や国際シンポジウムへの参加、海外インターンシップの道も拓かれています。

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近年、グローバリゼーションの進行に伴い、地球的規模で、あるいは各国内社会・地域社会で、今まで無かったような種類の多くの問題が新たに発生したり深刻化したりしています。国際会計政策プロフェッショナルとは、国際的な人的ネットワークと会計・財務・公共政策にわたる高度の専門知識を駆使して、そのような問題の解決をリードする人材のことです。IGSAPは、とりわけ、アジア・アフリカ諸国で人々や組織が直面している新たな諸問題の原因を解明して解決策を提案し、その実施の先頭に立つような意欲・能力・人的ネットワークを備えた国際的プロフェッショナルの育成に力を注いでいきます。

国際会計政策大学院のグローバルビジョン 

国際会計政策大学院の特徴と先進性

  • IGSAPで学ぶ学生は、リテラシー科目(日本語ビジネスコミュニケーション、英語ビジネスコミュニケーション、多文化共生、英語による論文作成指導)と3つの専門サブジェクト(会計制度設計、中小企業金融、現代公共政策)の授業科目を東京地区の教室やインターネットで受講することによって、会計、財務、公共政策にわたって基礎から応用に至る高度の学術的専門知識をシステマティックに積み上げていくと共に、社会や組織の他のメンバーと協力して問題の発見・分析・解決を主導するのに必要なコミュニケーション能力を効率的に修得します。
  • IGSAPの学生は、希望に応じて、Public Private Partnership Initiative (PPPI)の仕組みにより提供される企業や官庁などでのインターンシップや社会調査を内容とするフィールドスタディーを国内各地で行うことができ、さらに海外連携大学の斡旋によって海外インターンシップの経験を積むことも可能です。学生は、このような機会を通して、実際に社会や組織が直面している問題の発見の現場に立ち会い、その解決に取り組む体験を積む貴重な機会が与えられます。
  • IGSAPの学生は東北大学修士課程に在学し、課程を修了すれば東北大学から修士の学位が授与されますが、希望すれば、これに加えて、海外連携大学の修士課程に優先的に編入学して、そこでも修士の学位取得を目指すことができます。この場合、学生は、同一の修士論文(英文)を東北大学と海外連携大学の両方に提出することが求められ、両大学による合同論文審査に合格すれば、両大学から修士の学位が授与されます(ダブルディグリー)。
  • IGSAPの学生は、多国籍・多文化の教員と学生が共生する学習環境に日々身を置くことによって、グローバル化が進む社会・組織の中で力強く生き抜くためのコミュニケーション能力と信頼醸成能力を楽しく着実に培うことができます。

東北大学会計大学院の実績に裏付けられたプログラム

IGSAPの母体をなす東北大学会計大学院は、2005年の発足以来これまで一貫して仙台市に教育の本拠を置きながら、会計専門職教育にめざましい成果を挙げてきたのに加えて、国内外で積極的に独自の産官学の連携事業を展開してきました。具体的には、例えば、

  • 会計学教育・研究でアジアをリードする海外有力大学と協力して、毎年、サマースクールをはじめとする国際シンポジウムや国際セミナーを主催してきました。
  • 全国の18の会計大学院が加盟する会計大学院協会のリーダーとして、個別の大学の枠を超えたグローバル化時代にふさわしい会計専門職教育の発展の道を提案してきました。
  • 東北大学会計大学院では、官庁や職能団体から派遣された多くの実務家教員が教育に携わってきましたので、派遣元を通じて、既に強固な政官学の枠組みが形成されています。

IGSAPは、このような東北大学会計大学院が長年にわたって築き上げてきた実績を引き継ぎ、さらに、分野を財務・公共政策にも拡げ、又、アジア・アフリカのより多くの有力大学とも連携することによって、グローバルで実践的な世界最先端の専門職大学院教育プログラムへの飛躍を図るもので、確実な実施を見込むことができます。

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近代の会計・財務の仕組みはヨーロッパで誕生し、その後、現代に至るまで欧米主導で発展してきました。近代的会計制度は、資本利益を通して国家財政を支える所得課税を確実に実施するのに必要なもので、企業活動の健全な発展ばかりでなく近代国家の存続・発展にとっても不可欠でした。ところが、このような欧米主導で発展した会計制度は、経済発展の著しい現代のアジア・アフリカ諸国の社会や国家の実態には必ずしも適合しておらず、近年に至って明治維新(1868年)以降に独自の発展を遂げた日本の会計制度・所得課税制度が新たなグローバル・オルターナティブとして注目を集めるようになっています。

さらに、日本では、明治期以降に中小企業に対する地域社会密着型の金融制度が発達し、第2次大戦後は、これが日本の経済・産業が世界で飛躍する重要な財政基盤としての役割を果たしました。近年は、グローバリゼーションの進行によって、巨大企業や先進国の証券市場に上場を果たしたごく少数の起業家が巨額の融資を受けることが容易になった反面、世界的に中小企業や地域経済社会を支える金融制度の発展は遅れていて、日本独自の中小企業に対する金融制度にこのような問題の解決のカギを探ろうとする動きが現れています。

その一方で、近年の日本は、経済の「失われた20年」や国家・地方自治体の財政問題をはじめとする大きな困難をかかえています。さらに日本を含むアジア・アフリカ地域では、ヨーロッパや北米と比べて、国家・自治体が国境を越えてルールづくりを進めたり、社会発展のための公共政策を実施したりする枠組みの建設が遅れています。

IGSAPは、グローバリゼーションの深化がもたらす大きな利点と問題点が明らかになりつつある今こそが、近現代の日本の成功と失敗の経験も踏まえて、アジア・アフリカ諸国の有力大学、国内外の産官組織と連携しながら、望ましいグローバル、ナショナル、ローカル社会と組織の構築・発展をリードする新しい国際会計政策プロフェッショナルを育成するプログラムをスタートさせるべき時だと確信しています。

カリキュラム 

授業科目

IGSAPは、3つの専門サブジェクト(会計制度設計、中小企業金融、現代公共政策)の各専門科目、4つのリテラシー科目(日本語ビジネスコミュニケーション、英語ビジネスコミュニケーション、多文化共生、英語による論文作成指導)、インターンシップとフィールドスタディー、論文作成指導を授業科目として提供します。専門サブジェクト科目とリテラシー科目は、主に、2つのセメスターの初めの4ヶ月の期間(秋学期では10〜1月、春学期では4〜7月)のいずれかに開講されますが、それ以外の期間にも、海外連携大学の教員による集中講義が専門サブジェクト科目として開かれる予定です。

3つの専門サブジェクトでは、それぞれ、次のような授業科目を開講します(これら科目名は変更の可能性があります)。

  • 会計制度設計
    • 日本の会計制度設計
    • 財務会計
    • 法人税法と税務会計
    • 管理会計
    • アジア主要国の会計制度
    • 修士論文またはリサーチペーパーのための演習
  • 中小企業金融
    • 中小企業金融の変遷
    • スコアリングモデル
    • キャッシュフロー管理とコーポレートファイナンス
    • 運営管理と情報システム
    • 中小企業の組織と人事管理
    • 修士論文またはリサーチペーパーのための演習
  • 現代公共政策
    • グローバル・ポリティクス
    • 環境問題と持続可能な発展
    • グローバル・ヘルス
    • 科学技術と人間
    • 公共政策形成過程
    • 修士論文またはリサーチペーパーのための演習

インターンシップとフィールドスタディー

IGSAP の学生は各自の希望に応じて本プログラムを支援する社団法人会計政策研究会(産学の協力による事業体)や海外連携大学が提供・斡旋するインターンシップとフィールドスタディー(国内外の企業や官庁でのインターンシップ、社会調査など)を行うことが可能です。

インターンシップとフィールドスタディーが実施される時期は、毎年、主な専門サブジェクト科目・リテラシー科目が開講されていない2、3月と8、9月の期間になります。

柔軟なカリキュラム

インターネット授業

インターネットによって提供される授業です。具体的には、専任教員がサーバーにアップロードした授業コンテンツを学生がダウンロードして受講します。これによって、学生はいつでも各自の都合のよい時に、自宅でも外出先でも海外にいても授業を履修することができ、レポート提出や小テスト解答などの要件を満たせば単位を取得することもできます。どの授業がインターネット授業として実施されるのかについては、2015年5月までにウェブサイトでお知らせします。

開講時間割(土日も夜間も受講可能)

専門サブジェクトの各授業科目は、土曜日・日曜日、ウィークデイの夜間のいずれかに開講します。リテラシー授業科目はウィークデイの日中に開講します。したがって、ウィークデイにオフィスや店舗などで業務に携わっている学生でも、IGSAPの学業と日常の勤務とを大きな支障なく両立させることが可能です。

すべての授業が選択科目(柔軟な修了要件)

IGSAPが提供する授業科目はすべて選択科目になっており、必修科目はありません。したがって学生は、専門サブジェクト科目、リテラシー科目、インターンシップとフィールドスタディー、論文作成指導の中のどの科目を何科目履修するか、自分の判断で決めることができ、IGSAPにおいて、原則として2年間以上4年間以内在学して修了要件単位である44単位以上を修得しさえすれば課程を修了することができます。これによって、学生は各自の将来の進路に合わせて、自由にIGSAPにおける履修計画を立てることが可能になります。なお、学生が毎セメスターにどの科目を選択するかを決めるに当たっては指導教員等によるアドバイスを受けることができます。

英語が標準語(IGSAP修了後すぐに海外で活躍可能)

すべての授業は英語で行われます。また、IGSAPはリテラシー科目として、英語ビジネスコミュニケーション、多文化共生、英語による論文作成指導の科目を設けており、学生は、これらの科目を選択することによって、国際社会で英語を使ってビジネスを展開したり、日常生活を送ったり、学会で発表・ディベートを行ったり、英文の学術論文を作成したりする能力を育むことができます。さらに、希望する学生には、英文の修士論文またはリサーチペーパーの作成、海外連携大学の修士課程への留学、国際シンポジウムへの参加、海外インターンシップなどの実践の機会も与えられます。

東北大学の修士学位とダブルディグリー(高く評価され国際的に通用する学位取得)

IGSAP修了者には東北大学から修士学位(会計修士(専門職))が授与されます。これまで東北大学の修士学位は国内外で高い評価を受けてきましたので、IGSAP修了者には、取得した学位を生かして国内外の企業や公的機関で国際会計政策プロフェッショナルとして活躍できるポストを獲得したり、国際的な有力大学の博士課程に進学してさらにプロフェッショナルとしての能力を伸ばしたりすることが強く期待されます。

なお、前に述べたように、希望する学生は、IGSAPに加えて海外連携大学の修士課程にも在学してダブルディグリーの取得を目指すことも可能です。ダブルディグリーを取得した修了者は高度の国際プロフェッショナル能力に加えて、2つの有力大学の修士学位と2つの国にまたがる広汎で緊密な人的ネットワークを獲得し、将来の国際社会での活躍を保証する極めて有利な条件を手に入れることになります。

現在までのところIGSAPの海外連携大学に予定される機関は次の通りになっていますが、海外連携大学は、今後さらに増えていく見通しです。なお、これらの大学はいずれも英語によって修士課程を修了することが可能な教育プログラムを設けています。

中国

  • 浙江大学
  • アモイ大学
  • 貴州大学
  • 四川大学
  • 西南交通大学
  • 中国政法大学
  • 東北財経大学
  • 東北師範大学
  • 南京監査大学

その他のアジア地域

  • 国立中正大学(台湾)
  • 国立東華大学(台湾)
  • 東呉大学(台湾)
  • 成均館大学校(韓国)
  • ダッカ大学(バングラデシュ)
  • マンダフ大学(モンゴル)
  • スリジャヤワルダナプラ大学(スリランカ)

アフリカ

  • KCA大学(ケニア)

修了までの流れ

修了までの流れ 図
※リサーチペーパーは選択科目で、それ以外の授業科目を履修して44単位修得するだけでもIGSAPの課程を修了できます。なお、ダブルディグリーを取得するためには、修士論文を作成して東北大学と海外連携大学に提出する必要があります。

修了要件

学生がIGSAPの課程を修了するためには、原則として、2年間以上4年間以内在学して、IGSAPが開講する授業科目を44単位以上修得しなければなりません。

IGSAPの授業科目はすべて2単位の授業となっており、原則として、各セメスターに1回90分の授業が15回行われます。また、学生は各セメスターにつき32単位までの授業科目を履修できるという上限が定められています。これは、学生が、無理のない範囲で着実に履修を積み重ねることによって、円滑に課程を修了できるよう設けられた制度です。

既に述べたように、IGSAPの授業科目はすべて選択科目で必修科目はありませんが、博士課程進学を目指す学生には修士論文とリサーチペーパーのための演習科目履修が推奨されるなど、ひとりひとりの学生には各自のこれまでの経歴や将来の希望進路に応じて適切な履修計画を立てることが求められています。そこでIGSAPは、今後、指導教員などによる学習指導制度を充実させると共に、きめ細やかな履修モデル案を作成していく予定です。

キャリアパス

IGSAP修了者は、IGSAPで培った高度の「国際会計政策プロフェッショナル」能力と国際的人的ネットワークと取得した学位を活用して、次のような社会的に重要な業務で活躍することが期待されます。

  • 国内外の監査法人においてアジア・アフリカ諸国担当の国際専門業務や統括責任業務に携わる公認会計士
  • アジア・アフリカ諸国において会計・財務・公共政策の立案・実施を指導する政府職員
  • 国際的に事業展開している企業や非営利組織の幹部職員
  • 国内外の会計事務所や企業の会計士、会計担当者
  • 国内外の大学や研究機関における研究者

入学試験

入学試験と必要書類

入学試験は一般選抜とABE Initiative及び海外連携大学の推薦学生を対象とする特別選抜があります。

一般選抜を受験する場合は、受験出願書類、履歴書、学習計画書等を2015年4月13日(月)から5月29日(金)までの間に経済学研究科片平事務室国際会計政策コース担当まで提出してください。一般選抜の出願書類の詳細は毎年3月31日までにIGSAP Websiteでお知らせします。

ABE Initiativeと海外の連携大学から推薦される学生の入学者選考は一般選抜とは別の方法(特別選抜)により実施しますが、その詳細はJICA並びに連携大学からお知らせします。特別選抜を受験する場合に求められる提出書類と出願期間は一般選抜とほぼ同じです。ABE Initiativeで推薦される場合は、JICAから必要書類がIGSAPに転送されますので、出願者がIGSAPに改めて書類を提出する必要はありません。特別選抜の出願書類の詳細も毎年3月31日までにIGSAP Websiteでお知らせします。

入学試験の実施期日

一般選抜と特別選抜の入学試験は毎年6月に実施します。試験方法の詳細は毎年3月31日までにIGSAP Websiteでお知らせします。

合格発表

入学試験の合否結果は2015年7月10日(金)に各出願者に電子メールおよび文書で通知します。

「入学検定料、入学金、授業料の概算額」
(正確な額は、その年度の政府予算案が国会で承認された後に確定します。)

入学検定料は30,000円(いったん納入した後は、受験しなかった場合でも返却されません)、入学金282,000円(初年度のみ)、授業料589,300円(毎年度)がかかる予定です(授業料等の改定が行われた場合には新しい授業料等が適用となります)。なお、ダブルディグリー取得などを目的として海外連携大学から派遣される交換留学生は、これらの諸経費を東北大学に支払うことが免除されます。

ABE Initiative(African Business Education Initiative for the Youth)とは

アフリカの若者のための産業人材育成イニシアティブ(ABE Initiative)は、5年間で1000人のアフリカの若者に対し、日本の大学や大学院での教育に加え、日本企業でのインターンシップの機会を提供するものです。

このプログラムは外務省、文部科学省、経済産業省、一般社団法人経済団体連合会、JICAが運営委員会を編成し、企画・実施しています。

IGSAPは、ABE Initiativeでアフリカ諸国から日本に派遣される意欲あふれる優秀な学生を多く受け入れたいと考えています。